山田順。 幻想の英雄・全文公開

連載324 山田順の「週刊:未来地図」新型コロナウイルス感染収束後の 世界はどうなっているのか?(上)

山田順

「1度決めたら変えられない」というのが、政府の姿勢と言われている「GO TO キャンペーン」。 その目的は、観光ビジネスを活性化することを通して、経済を回していくということらしい。 経済を回すことにつながらないばかりか、ポストコロナの日本経済をどん底に突き落としかねない。 まず、なによりも感染拡大を加速させる。 その意味で「GO TOトラベル」ではなく「GO TO 感染トラベル」と言ったほうがいいかもしれない。 そのうえ、本来の目的である経済回復も達成できない。 しかも、富を創出する産業ではなく、消費するだけである。 さらに、労働集約型のサービス産業であり、資本収益率は高くない。 交通産業にしてもホテル産業にしても固定的な設備投資が必要で、そこから上げられる収益は、他産業と比較すると低い。 また、労働者側から見ると、労力も時間もかかり、平均賃金も低い。 したがって、観光ビジネスは、先進国の主流な産業ではなく、「観光大国」と言われている国の多くは途上国だ。 ただし、フランスやイタリアのように、文化遺産が数多くあるという「観光大国」は例外である。 そもそも日本が観光ビジネスに力を入れ出したのは、主力産業が斜陽化するなか、中国人などのインバウンドが増えて、観光ビジネスが成長産業になったからだ。 しかし、コロナ禍でこのうちのほとんどすべてが失われた。 そしてこの先も、日本が感染対策に失敗している限り戻ってはこない。 とすると、「GO TOキャンペーン」は、国内で人が動いて消費されるだけ。 日本経済の成長には貢献しない。 よく、経済効果ということが言われるが、観光地から見ればこれは確かにある。 しかし、観光に行くほうの地域から見れば、逆にその分が失われるだけで、効果などない。 つまり、日本全体から見れば消費がある地域から別の地域に移るだけでイーブンである。 政府は、こんなことに税金をつぎ込もうとしているのだ。 観光ビジネスを救いたいのなら、単に補助金を出すなど別の方法がある。 次に、「ウイズコロナ時代」がどれほど続くかによるが、この時代を通して観光ビジネスは斜陽産業である。 飲食産業、エンタメ産業、イベント産業などと同じく、これ以上の成長は望めない。 「ウイズコロナ時代」は「マスク時代」と言い換えてもいい。 人々は常にマスクを付け、ソーシャルディスタンスを保たねばならない。 そうして、旅行に出かけなければならない。 これでは、ただでさえ観光需要は激減する。 すでに旅行業、航空業などは軒並み規模を縮小、リストラに入っている。 ニューノーマル生活が続けば、その生活に合わない産業は淘汰される。 そうならないための「GO TOキャンペーン」なのだろうが、こうしたある特定産業への支援策は、かえって状況を悪化させる。 資本主義経済の原則に反しているからだ。 政府が経済に手を突っ込めば突っ込むほど、経済は悪化する。 これまでに政府は、補正予算を組み、飲食店などの休業補償、家賃補償を実行(まだ貰っていないという声が多い)してきた。 飲食店の場合、これがないと倒産するか、あるいは廃業せざるをえなくなる。 だから、こうした経済対策には、メディアも経済専門家も賛成し、「休業要請と補償はセットだ」という意見が主流になった。 しかし、感染拡大がこの先も続いて休業要請期間が延びる。 あるいは、解除後されても第2波が来て、再度休業要請が行われる。 そうなったら、そのたびに、また補償できるだろうか? 「ウイズコロナ時代」が続けば、従来の産業をそのまま存続させることはできない。 もう、政府はこれを視野に入れるべきだ。 すると、補償、支援というのは、結局は、特定業界にニューノーマル対応を遅らせ、最終的に成長産業に切り替えるチャンスを奪うことになる。 コロナ禍によって、資本主義の本質が忘れられようとしている。 資本主義の本質は、ヨーゼフ・シュンペーターによって提唱された「創造的破壊」による経済発展である。 資本主義においては、時代に適応できなくなった産業には、資本が投下されない。 資本主義のダイナミズムは、停滞する産業・商品に代わって、絶えず新しい成長産業・商品が生まれることにある。 これが、創造的破壊であり、この邪魔をするのが、補償、支援という政府の経済政策である。 政府は、経済対策をすることによって、本来市場から退出すべき産業を生かし続ける。 政府がやらなければいけないのは、旧産業の保護ではなく、新しい成長産業の成長を促進し、旧産業から新産業に経済の主軸と雇用を移すことだ。 経済の自律性を無視して、市場に手を突っ込み、新しい規制をつくり、補償や支援を行うことによって景気をよくすることはできない。 政府が、この先を見据えて経済を回していきたいなら、「ウイズコロナ時代」にふさわしい産業を支援すべきだ。 IT、ネット、医療、介護、バイオなどの分野に、私たちの税金を回し、そこに、時代に合わなくなった産業からの雇用を移していくことだ。 とくに医療に関しては、もっと支援が必要だろう。 医療従事者、医療施設への補償はもとより、医療産業全体に投資すべきだ。 ヘルステックの進展で、医療業務をサポートするかたちでAIが活用される場は増えていく。 また、創薬に関してもAIの活用は進んでいる。 こうしたことに、限りある税金を使うべきだ。 「GO TOキャンペーン」を含めて、コロナ対策の補正予算の多くは国債でまかなっている。 要するに、おカネを刷り続けて、それを定見なくバラまくというのが、政府のやり口だ。 これを続けると、「ウイズコロナ時代」が長引けば長引くほど経済は悪化し、「ポストコロナ時代」が来たとき日本経済はどん底に沈んでいるだろう。 世界では観光再開への模索が進んでいる。 しかし、国をあげて観光業、それも国内観光業に1. 7兆円もつぎ込むなどという国はありえない。 安倍首相は、5月25日の記者会見で「GDPの4割にのぼる空前絶後の規模、世界最大の経済対策で100年に1度の危機から日本経済を守り抜く」と言った。 ならば、それと同じ口で、「空前絶後の規模で日本の観光業を守り抜く」と、力を込めて言ってみたらどうか。 「現下の感染状況を高い緊張感を持って注視しています」だけでは、なんにもならない。 ニュース - Yahoo!

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楽天ブックス: すべてを手に入れた「1%の人々」はこう考える

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山田順策 山田 順策(やまだ じゅんさく、(明治20年) - (昭和36年))は、日本の、、。 議員(2期)、旧長(1期)。 歯科医、自動車業、金融関係など、多種の業績に貢献した。 経歴 [ ]• (明治20年) 瀬名村(現在の静岡市)で生まれる。 (明治44年) 東京歯科医学専門学校(現)卒業。 (大正元年) 静岡市に歯科医院を開業。 (大正10年) 静岡市会議員となる。 25年務める。 (大正12年) 静岡自動車株式会社を設立し、初代社長となる。 (大正14年) 静岡県自動車組合連合会会長となる。 (昭和6年) 静岡県会議員(静岡市会議員と兼任)となる。 1931年 静岡乗合自動車協会会長、日本乗合自動車協会副会長となる。 (昭和7年) 会長となる。 (昭和8年) 代議員となる。 (昭和12年) 衆議院議員となる(旧静岡1区、静岡市会議員と兼任)。 (昭和15年) を設立する。 (昭和17年) 静岡市信用組合(現・)の組合長となる。 昭和18年 静岡交通自動車株式会社の取締役社長となる。 (昭和20年) 静岡女子薬学専門学校(現薬学部)の理事長となる。 (昭和21年) 全国信用組合協会の副会長となる。 1946年 となる。 (昭和26年) 静岡薬学専門学校(現静岡県立大学薬学部)の理事長となる。 (昭和27年) 静岡県歯科技工士協会の顧問となる。 (昭和28年) の理事長となる。 (昭和30年) 静岡市長選挙に立候補し当選。 市政の改革、刷新を図り、積年の赤字約1億2千万円を就任2年で解消。 1955年 県市長会長、東海地区市長会長、全国市長会副会長を務める。 (昭和32年) 静岡ライオンズクラブの会長となる。 (昭和34年) 静岡市長を退任。 (昭和35年) 全国信用不動産会社取締役となる。 1960年 藍綬受章。 (昭和36年) 74歳で死去。 勲三等旭日中綬章受章。 備考 [ ]• 静岡県議会議員のは山田順策の孫。 脚注 [ ].

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横浜市の「カジノ誘致」騒動の虚しさ。どう見ても失敗するので、反対する気力すら起こらない。なぜか?(山田順)

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経済対策の先にある国家の財政破綻 まだ第二四半期4-6月期の経済指標が出るには時間がある。 しかも、第三四半期も第四四半期も明るい材料はゼロだ。 これで、株価が上がり、円高になるとは、普通の経済アタマでは理解不能である。 つまり、「金融緩和」という名の下に、おカネを擦り続けている。 現在、第二次補正予算まで来たが、この後、第三次、そして来年度予算が待っている。 もはや、こうなると、おカネをさらに擦り続ける以外に道はない。 しかし、永遠におカネをすり続けることはできない。 続ければ、どこかで、おカネに対する信任が崩れ、通貨「円」は大きく下落する。 これまでは、なにかあるかと「円は安全資産」と言われてきたが、それが単なる神話だったことが明らかになる。 そうして、市場に大量に供給されたおカネがインフレを引き起こす。 このインフレはコントロールが利かないハイパーインフレになる可能性がある。 そんななか、金利が上昇していくと、国債の利払い費がかさみ、国家の財政破綻が視野に入ってくる。 韓国映画『国家が破産する日』の教訓 ここで再び、アジア通貨危機に話を戻すと、あのとき、韓国は財政破綻(デフォルト)した。 話を簡単にするために、当時のことを、事実を元にして描いた韓国映画『国家が破産する日』(英題は『DEFAULT』)で説明してみたい。 この映画のポイントは、韓国のように通貨安で財政が破綻したとき誰が勝者になるか?が、教訓としてわかることだ。 危機に陥った韓国を「救う」ために乗り込んできたのは、IMFとアメリカの金融機関だった。 IMFと彼らは裏でつながっており、善意で韓国を救おうなどとは思っていなかった。 これはさしずめ、いまのWHOと裏で手を組んだ中国を思わせる。 WHOは世界を救おうなどとは思っていないだろう。 この映画の主人公は、国のためにIMFの援助の受け入れに反対する韓国銀行の通貨政策チームの女性チーム長ハン・シヒョンと、高麗総合金融というノンバンクの金融コンサルタント、ユン・ジョンハクである。 ユン・ジョンハクは危機をいち早く察知して、「この国は破産します」と言い残し、高麗総合金融を退職する。 そうして、誰もが信じようとしない国家破産の危機をチャンスに変えようと、顧客とともに、ウォンと株の暴落に賭ける。 そうしてまず、彼がしたことは、投資家の資金をすべて米ドルに換えることだった。 その結果、この映画のなかでの勝者はIMFとユンだけとなった。 つまり、米ドルへのシフト。 それが最大の教訓である。 そして、国家財政が破綻するような事態が目前に迫っても、国は国民に対してなにも情報を出さないということが、第2の教訓だ。 この2つは、コロナ大不況が進むなか、心に刻んでおくべきだろう。 (了) 【山田順】 ジャーナリスト・作家 1952年、神奈川県横浜市生まれ。 立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。 「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。 2010年からフリーランス。 現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。 主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。 近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。 【読者のみなさまへ】本メルマガに対する問い合わせ、ご意見、ご要望は、私のメールアドレスまでお寄せください。

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