晴れ ときどき 殺人 映画。 解説・あらすじ

渡辺典子 晴れ、ときどき殺人(キル・ミー) 歌詞&動画視聴

晴れ ときどき 殺人 映画

渡辺典子主演。 母の贖罪のためコールガール殺しの真犯人を捜さなければならなくなった女子大学生の姿をユーモラスに描いたミステリー。 渡辺は冒険心と好奇心にあふれたヒロインの女子大学生を演じ、新たな魅力を披露。 主題歌も渡辺自身が担当し、さわやかな歌声を聴かせている。 原作は赤川次郎の同名小説。 井筒和幸監督、1984年作品。 【ストーリー】 母が亡くなり、一人ぼっちになってしまった女子大学生・加奈子(渡辺典子)。 母・浪子(浅香光代)は北里産業という巨大コンツェルンの会長だった。 加奈子には、その後を継いでいく重責が待っていた。 しかも死の間際の告白から、かつて母はコールガール殺人事件を目撃したが、加奈子を殺すと脅迫されて無実の人間に罪をきせていたことを知った。 はからずも加奈子は真犯人探しの役目まで背負わされてしまったのだ。 家の中で次々に行われる殺人。 魔の手は加奈子にも迫ろうとしている。

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解説・あらすじ

晴れ ときどき 殺人 映画

ポンコツ映画愛護協会『晴れ、ときどき殺人』 『晴れ、ときどき殺人』:1984、日本 ある夜、北里インターナショナルの会長である北里浪子は、運転手の関口雄次と共に、自社ビル建設予定地を訪れた。 翌日の地鎮祭を控え、浪子は今までのことを懐かしむ。 彼女は亡くなった夫と関口の3人で小さい石鹸工場を始め、それから30年を経て会社を巨大企業へと成長させていた。 浪子は人影に気付き、作業員だと思い込んで「ご苦労様」と声を掛けた。 しかし視線を移動させた彼女は全裸女性の死体を発見し、悲鳴を上げる。 人影に視線を戻すと、その姿は消えていた。 それから3ヶ月後、浪子が会長室にいると、社長の円谷等志が入って来た。 コールガールが殺された3ヶ月前の事件は、未だに犯人の手掛かりさえ見つかっていない。 円谷は浪子に、彼女の娘・加奈子が海外留学から戻って来ること、自分の息子の正彦が迎えに行こうと言っていることを話す。 円谷と入れ違いで、秘書の水原信吾と社員の田宮健太郎が入って来た。 田宮は浪子に、警視庁が容疑者を逮捕し、本部長が確認を求めていることを話す。 浪子は相手の顔をほとんど見ていなかったが、面通しを承諾した。 浪子がレストランで食事をしているとボーイが来て、電話が入っていることを知らせた。 浪子が受話器を取ると、相手の男は機械で声を変えており、捕まっている容疑者を犯人だと証言するよう要求した。 相手は「そうしないと一人娘を殺す。 殺し屋を雇って監視する。 嘘だと思うなら、廊下の植え込みを見ろ」と告げて電話を切った。 浪子が植え込みを見ると封筒があり、中には留学中の加奈子を撮影した数枚の写真が入っていた。 浪子が地下駐車場へ行くと、サングラスの男が後を付いて来た。 車に乗り込むと、その男も自分の車を発信させた。 先程の男から再び電話が入り、浪子は「監視から逃れることは出来ない。 組織を甘く見るな」と脅迫を受けた。 警察署を訪れた彼女は、マジックミラー越しに見た容疑者を犯人だと証言した。 警察署を後にした浪子は、窓ガラスを突き破った容疑者が道路に墜落して死亡するのを目にした。 浪子は可奈子を出迎えるため、成田空港へ赴いた。 円谷と正彦も、可奈子の迎えに訪れていた。 可奈子に気付いた浪子がハンドバッグを開くと、そこには「平和を乱されたくなければ真実を明かすな」と書かれた脅迫状が入っていた。 それから半年後、心臓の悪かった浪子は床に臥せていた。 彼女は可奈子に、これまで隠していた事情を打ち明けた。 そして「真犯人はね、ごく身近な人たちの中にいるの」と言い、去年の年賀状を見ていたら脅迫状の文字と良く似ている物があったこと、調査を依頼した岩下という興信所の人間が明日にも報告に来ることを話す。 浪子は可奈子に犯人の名前を告げようとするが、その前に息を引き取った。 可奈子が悲鳴を上げたので、1階にいた主治医の菊井和人とメイドの石田マリ子が駆け付けた。 翌朝、可奈子は1階の応接間にある書棚の裏に、隠し部屋を発見した。 そこは浪子が収拾した映画関係の書籍やポスターが置かれている部屋だった。 立ち去る菊井と入れ違いで、刑事の多田と安岡がやって来た。 1週間前から手配中の殺人犯が昨夜、その辺りに現れたという情報が入ったが発見することが出来ておらず、まだ潜伏中なので一軒ずつ回って注意喚起しているのだという。 彼らは、被害者の女性が売春婦であること、ビル建設予定地で殺害されていたコールガールと同じ箇所にホクロがあること、同じような手口で殺されていることを語る。 彼らは上村裕三という犯人の写真を見せるが、可奈子は知らない男だった。 刑事たちが去った後、可奈子は邸内に潜んでいる上村を発見する。 上村は「殺していない」と釈明し、事情説明を始めた。 2週間前、彼のアパートを高校時代の友人である田代明美が訪ねて来た。 彼女はトルコ嬢をやっていたが、嫌気が差して辞めた。 しかし店の男が戻るよう脅して来るので、匿ってほしいのだという。 上村は「1日だけ泊めてやるから田舎へ帰れ」と告げたが、明美は翌日以降も居座った。 そのことで言い争いになった上村は、自分が部屋を出て友人の所を転々とした。 3日ほど経ってアパートへ戻ると、全裸の明美が殺されていた。 上村は部屋にいた犯人に体当たりされ、意識を失った。 目を覚ました後、管理人がドアをノックする中で、彼は逃亡した。 上村は犯人が部屋に忘れたライターを手に入れていた。 記念品専門の会社に電話して調べてみると、そのライターは浪子が40歳の時に、関係者の男性に贈った物だった。 ちなみに女性にはペンダントを贈っっている。 それを知った上村は、真犯人を見つけるために北里邸へ来たのだ。 可奈子は彼を隠し部屋で匿うことにした。 上村は小型飛行機を作るために大学を中退した変わり者だった。 可奈子は上村に、母から聞かされたことを全て話した。 次の朝、水原が葬儀の打ち合わせのために北里邸を訪れた。 可奈子は彼が記念品のライターを所持しているのを確認する。 マリ子は可奈子に、水原がコールガールを買っていること、瞬間湯沸かし器のようなところがあることを話した。 正彦が来てフィアンセ気取りで振る舞うので、可奈子は冷たくあしらった。 円谷は正彦に会社を継がせようと考えていることを可奈子に語り、結婚して一緒に盛り立てていくよう促した。 可奈子は円谷親子の勝手な考えに腹を立てた。 可奈子が浪子の部屋に行くと、正彦が何かを探していた。 「何をしてるの」と可奈子が鋭く告げると、正彦は「最後のお別れをね」と下手な嘘をついた。 彼は可奈子と強引に肉体関係を持とうとするが、マリ子が来て「お客様です」と言うので、部屋を去った。 可奈子は部屋にあった小型マイクを発見し、水原の部屋に潜入した。 すると、そこには盗聴装置が隠されていた。 可奈子に詰め寄られた水原は、依頼を受けて盗聴していたこと、録音テープは依頼人に直接渡していたことを話した。 可奈子は上村に、盗聴装置のことを話す。 彼女は、依頼人が円谷であり、会社の権力争いを巡って浪子の電話を盗聴していたのだと悟った。 上村が菊井に疑いを向けると、可奈子は軽く否定した。 「彼に医者のジュニアはいないの?」という質問を受けた可奈子は、大学病院で外科医をしている息子・和昌のことを教える。 上村が和昌への疑いを口にすると、可奈子は笑って否定し、自分が留学する前に家庭教師をやってくれていたことを話した。 その夜、親族や会社の関係者が北里邸を訪れ、可奈子は彼らの相手をする。 岩下は調査資料や預かっていた年賀状の入った封筒を持参し、北里邸にやって来た。 マリ子によって応接間に通された彼は、可奈子以外の人間には何も喋らないことを告げた。 水原はマリ子から岩下のことを聞かされ、応接間へ行ってみた。 しかし部屋から出て来た彼は、何も教えてもらえなかったことをマリ子に述べた。 親族の相手をしていた可奈子は、マリ子から岩下が来ていることを教えられた。 彼女が部屋に行くと岩下はナイフで刺し殺されており、傍らには両手を血だらけにした正彦が立っていた。 多田と安岡の事情聴取を受けた正彦は、死体につまずいて転んだだけだと主張した。 水原は刑事たちに、応接間を出た後はトイレに入っていたことを証言する。 マリ子も含めた3人の証言を総合すると、岩下は水原が応接間を出てから正彦が入るまでの2分半で殺害されたことになる。 岩下が持参した封筒は、犯人によって盗まれていた。 加奈子は他の面々が去った後、隠し部屋に入る。 だが、上村は高熱でボーッとしていたため、犯人の声も物音も聞いていなかった。 上村が「病院へ行く」と言い出したので、捕まる危険性を考慮した加奈子は菊井に診察を頼もうと考える。 しかし、いざ菊井に前に行くと、彼女は上村のことを切り出せない。 菊井は加奈子に、和昌が来ていることを教える。 加奈子は和昌の元へ行き、事情を打ち明けた。 上村を診察した和昌は「このまま放っておくと危ない」と言い、夜明け近くになってから自分の勤務する大学病院へ運び出そうと提案した。 だが、密告電話によって隠し部屋の存在を知った多田と安岡が、警官隊を引き連れて北里邸へ戻って来た…。 監督は井筒和幸、原作は赤川次郎(カドカワノベルズ)、脚本は丸山昇一、製作は角川春樹、プロデューサーは黒澤満、撮影は浜田毅、照明は井上幸男、録音は宮本久幸、美術は徳田博、編集は冨田功、音楽は宇崎竜童、音楽プロデューサーは高桑忠男&石川光。 主題歌『晴れ、ときどき殺人(キル・ミー)』作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童、編曲:萩田光雄、唄:渡辺典子。 出演は渡辺典子、太川陽介、浅香光代、寺田農、松任谷正隆、伊武雅刀、前田武彦、小島三児、美池真理子、清水昭博、浅見美那、神田隆、九十九一、江角英明、小鹿番、梅津栄、鶴田忍、東山茂幸、岡林真央、渡辺さつき、龍のり子ら。 渡辺典子が角川春樹事務所の製作した映画で初めて主演を務めた作品。 脚本は『野獣死すべし』『汚れた英雄』の丸山昇一、監督は『ガキ帝国』の井筒和幸。 加奈子を渡辺典子、上村を太川陽介、浪子を浅香光代、サングラスの男を寺田農、和昌を松任谷正隆、水原を伊武雅刀、菊井を前田武彦、多田を小島三児、マリ子を美池真理子、正彦を清水昭博、明美を浅見美那、円谷を神田隆、安岡を九十九一、田宮を江角英明、関口を小鹿番が演じている。 渡辺典子と言えば角川3人娘の1人だが、実は最初の主演映画は東宝企画が製作した1983年11月の『積木くずし』で、この映画はその翌年の5月だ。 高校を卒業してから最初の映画出演ということになる。 彼女は1982年に『伊賀忍法帖』のオーディションを兼ねた「角川映画大型新人女優募集」でグランプリを受賞しているのだが、そこで特別賞を受賞した原田知世の方が、1983年7月の『時をかける少女』で先に主演デビューを飾っている。 ちなみに角川3人娘では、薬師丸ひろ子が7本、原田知世が5本の映画で主演しているのに対し、渡辺典子は3本しか無い。 角川では、あまり上手く活かしてもらえなかった女優という印象がある。 薬師丸なら『セーラー服と機関銃』や『Wの悲劇』、原田なら『時をかける少女』といった作品が角川時代の代表作としてすぐに思い浮かぶのだが、渡辺典子の主演した本作品と『いつか誰かが殺される』『結婚案内ミステリー』は、他の2人の代表作に比べると、かなり知名度が落ちると言わざるを得ないだろう。 角川春樹は『金田一耕助の冒険』で大林宣彦(『HOUSE ハウス』)、『セーラー服と機関銃』で相米慎二(『翔んだカップル』)、『探偵物語』で根岸吉太郎(『遠雷』)というように、まだ監督経験の少ない人を積極的に登用してきた。 そして今回は、成人映画で監督デビューし、まだ一般映画は3本しか撮っていなかった井筒和幸を抜擢したわけだ。 かなりの冒険と言えるが、井筒監督は前年に東宝で『みゆき』というアイドル映画を撮っているので、それが少しは安心館に繋がったかもしれない。 角川で『ねらわれた学園』や『時をかける少女』など複数の作品を手掛けた大林宣彦にしろ、『セーラー服と機関銃』の相米慎二にしろ、アイドル映画というジャンルの中でも、独自の作家性を強くアピールするように仕上げていた(大林監督ならファンタジックな映像表現、相米監督なら長回し)。 しかし井筒監督にとっては、あくまでも「やらされた」というだけの雇われ仕事だったようで、アイドル映画から逸脱したような表現も無い代わりに、面白くもない仕上がりになっている。 演出の前に、まず脚本にも大いに問題がある。 最初に浪子が死体を発見するシーンがあって、すぐに3ヶ月後へ移る。 脅しを受けた彼女が偽の目撃証言をして犯人が死亡し、空港へ可奈子を出迎えに行くと、すぐに半年後へ移る。 そうやって、序盤の内に2度も時間の跳躍を入れるのは、構成として不格好だ。 しかも、可奈子が登場して、すぐに半年後へ移って浪子が犯人について語る展開に入るので、可奈子のキャラ紹介をする時間も無い。 また、映画開始から浪子が死亡するまで、彼女が主役のようになっているのも上手くない。 そこは例えば、「可奈子の出迎えに浪子が来ており、脅迫状を発見する」というシーンから始めても良かったのではないか。 その後、帰国した可奈子の様子を描くことで彼女のキャラクターや周辺の人間関係を紹介する。 一方、脅迫状の文字を「どこかで見たことがある」と感じた浪子は年賀状を調べ、興信所に調査を依頼する。 だが、その報告がある前に発作を起こして倒れてしまい、可奈子に事情を説明する。 その時に回想として、事件を目撃したことや、脅されて偽証したことなどが観客に示される形にするのだ。 浪子が死んだ翌朝、可奈子は赤いレオタードに着替え、泣きながらエアロビクスをやるというシュールな行動に出る。 前夜に浪子が死んでいるのに、身内も会社関係者も、一人も邸宅へ来ていない。 会長が死んだら経営にも影響があるんだから、会社の関係者は一刻も早く邸宅へ駆け付けるべきじゃないのか。 菊井が誰にも連絡していないというわけでもあるまいに。 死亡から2日後にならないと、関係者が訪問しないってのは不可解だ。 しかも、みんな異常なほど落ち着いているし。 可奈子は隠し部屋を発見するが、そこに犯人の手掛かりや事件を探るヒントでもあるのかと思ったら、ただ浪子の映画コレクションやパソコンが置いてあるだけ。 後から「上村を隠し部屋で匿う」「その部屋で上村がパソコンを使う」という展開があるので、そのためには隠し部屋が必要になるわけだが、だとしても、可奈子が発見した時点では何の意味も無いというのは上手くない。 その時点で、何か物語に関与する資料なり物品なりを入手する形にしておくべきだ。 あと、その隠し部屋に入ったシーンで、可奈子が「私はこれからが大変よ。 シナリオの3分の2だけ渡しておいて、クライマックスを私にやらせるなんてシャレが強すぎるんじゃない?」と死んだ母に語り掛けるのだが、ものすごく陳腐。 「いかにも作られた台詞」丸出しになっているし。 それに、映画ネタを持ち込むってのも、ものすごく中途半端。 あと、浪子が映画マニアだったってのは、そこまでには全く触れられていなかったし、映画マニアであることが物語に何の影響を与えるわけでもないし。 上村は小型飛行機を作るために大学を中退したという男で、匿われている間もパソコンを使って小型飛行機の設計をしたりしている。 彼が小型飛行機に夢中で既に試作機第一号も作っているというのは、今回の事件に何の関係も無いのに、やけに意味ありげな、っていうか妙に浮いている設定で、「まさかクライマックスで小型飛行機を使ったアクションをやるつもりなのか」と思っていたら、その「まさか」が的中した。 だけど、幾ら伏線を張っておいても、やっぱり浮いてるぞ、その小型飛行機アクションは。 しかも、飛んだと思ったら、すぐ落ちてしまい、見せ場と呼べるほどのモノにもなっていないし。 刑事コンビはコメディー・リリーフの役回りを担当しており、その2人に引きずられるように、母親を亡くしたばかりの可奈子も彼らと軽妙な雰囲気でやり取りを交わす。 っていうか、彼女が悲しみを見せるのは隠し部屋を見つけた時ぐらいで、それ以降は母親の死に直面したばかりということを全く感じさせない元気さを見せる。 ライトでユーモラスなタッチで進行するのは、赤川次郎が原作であることを考えると、小説のテイストをそのまま持ち込んでいるのかもしれないが、違和感があることは確かだ。 上村は犯人として疑われることになった経緯を可奈子に説明するが、その事情は無駄にややこしい。 「明美をアパートに泊めてやることになって、ずっと居座るので言い争いになって、しばらく友人の所を転々として、戻ってみたら彼女が殺されていて」と、そんなに手間を掛けなきゃダメなのか。 もうちょっとスッキリさせられないものか。 明美が店の男に追われているという設定も、ホントなら「店の関係者が関わっているかも」という疑いが絡んできても良さそうなものだが、早々に「浪子に近い人物が犯人」ということが確定されているため、そこは全く無意味な設定になっているし。 水原がライターを持っていることを可奈子が知った後、マリ子が「彼はトルコに通っている」「ああいう男は女を買って苛める」「彼は瞬間湯沸かし器みたいな所がある」などと語り、それを聞いた可奈子が水原に疑いを抱くという展開がある。 しかし、水原がライターを持っていることが明らかになっているため、そうやって疑いを持つ展開には何の意味も無い。 しかも、その直後にあるマリ子と水原の会話によって、マリ子が水原をからかうために嘘を言っていたことが明らかになるので、ミスリードとしては成立していないし。 浪子の部屋で盗聴マイクを発見した可奈子がクローゼットを調べていると人影を発見するが、それは鏡に映った自分だったというシーンがあるが、そんな肩透かし、まるで要らないわ。 しかも、クローゼットのシーンは、それだけで終わりなのだ。 いやいや、せめて肩透かしの後に、何か重要な手掛かりを見つける手順でも用意しておこうよ。 その肩透かしをやるためだけに、クローゼットに入ったのかよ。 可奈子は水原の部屋で盗聴装置を発見するが、それで「彼が犯人かも」という疑いが濃くなるわけではない。 すぐに誰かの依頼で動いていたことが明らかになるし、浪子は依頼人が円谷だと確信する。 では円谷に疑いを向けるのかというと、会社の権力争いで盗聴していたことをすぐに悟っている。 実際の目的が何だったのかに関わらず(実際にそうなのだが)、可奈子がそう確信することによって、円谷を疑わせるためのミスリードは生じない。 ミステリーとしては、粗筋でも分かるだろうが、明らかに1人だけ、際立って怪しい人物が存在する。 しかし、そこまで露骨に1人だけを際立たせると、逆に「ああ、こいつは犯人じゃないな」ってのが透けて見える。 そこまで怪しい動きをさせて、観客の目を引き付けておいて、そいつが犯人だったら、そのまんまってことになる。 そんな何の捻りも無いミステリーは、幾ら本格推理を主戦場にしていない赤川次郎であっても作らないだろう。 そんな露骨に怪しい人物の他にも、前述した水原などは、盗聴装置の発見以降も、ずっと「怪しい人物」としての描写が続いており、彼が岩下のいる応接間から出て来るシーンなどもある。 しかし、前述の理由で、彼へのミスリードは無意味だ。 マリ子も、水原や正彦と話す時に可奈子が知らない顔を見せるが、それは「裏がある女」「胡散臭い女」という印象を与えるだけであり、「犯人かもしれない」というミスリードに繋がるものではない。 そういうわけで、この作品は一応、「可奈子の周囲には怪しい奴が一杯」という形を表面上は作っているのだが、実際に受ける印象としては、「ミスリードが成立しているのは1人だけ」ということになっている。 しかも、そうやって疑いを持たせているのであれば、その時点で既に真犯人も登場させておくべきだろうに、真犯人が登場するのは、もう映画も1時間ほど経過した頃になってからなのだ。 それに、その登場も、仕事をしている様子がチラッと写るだけで、可奈子とは絡んでいないし。 それはダメでしょ。 ミステリーとしては他にも色々と粗が多い。 刑事コンビが見当違いな推理をするのは、コメディー・リリーフだから別に構わない。 だけど、岩下の殺人事件が発生した時に、状況から見て内部犯行の可能性が濃厚なのに、いつの間にか「逃亡犯(上村)が邸内に潜んでいて殺害を実行した」ということになるのは、どういうことなのか。 どうしてそういう見解になったのか、イマイチ良く分からん。 で、さっさと検問へ行ってしまうんだけど、ものすごく不可解。 事件発生時の邸内にいた関係者の行動を制限することも無く、監視を付けることもしない。 真犯人の行動もデタラメで、まずビル建設予定地で浪子に声を掛けられた時点で「顔を見られたかも」と不安になっても良さそうなのに、その時は何の行動も起こさない。 で、容疑者が捕まると、そいつを犯人として証言するよう要求する。 でも、その後に同様の手口で明美が殺され、上村が犯人として追われることになるので、「そうなると死んだ容疑者はどうなるんだ。 警察の大失態だぞ」ってのが気になるし。 あと、サングラスの男に関しては、「たまたま駐車場にいて、たまたま車で並走して、たまたま脅迫電話と同じタイミングで電話をしていただけの男」ってことなんだけど、その偶然は無理がありすぎるだろ。 真犯人が明らかになった時に感じるのは、「そこに繋がる伏線やヒントって、まるで無かったよな」ってことだ。 殺害動機は「母親と同じ場所にホクロのあるコールガールに対して、母親と同じように耳かきを頼んだら笑われたので、カッとなって殺害した」ということなんだけど、そいつが極度のマザコンってのも、振り返って「ああ、あの時のアレは、そういうことだったのか」と思わせて来れるような箇所が全く用意されていないんだよな。 そいつが真犯人ってのは、「最も怪しくない奴が犯人」というミステリーのセオリーとしては理解できる。 だけど、セオリー以外で腑に落ちる部分が著しく欠けている。 (観賞日:2013年11月13日).

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ポンコツ映画愛護協会『晴れ、ときどき殺人』

晴れ ときどき 殺人 映画

1982年4月18日。 この日が何の日か、皆さんは御存知ですか? 「角川・東映大型女優一般募集」オーディションで渡辺典子が優勝し、原田知世が特別賞を受け、角川三人娘が出揃った日なのです。 渡辺典子さんは、この時のことをデビュー作「伊賀忍法帖」(1982年)のパンフレットの中で次のように語っています。 〜 名前を呼ばれ、薬師丸ひろ子さんから花束を頂き、カメラのフラッシュを浴び、何が何だかわからないうちに時間が過ぎていった 〜 この時の渡辺典子はシンデレラそのもの。 しかし、彼女の苦労の物語はここから始まるのです。 映画では、清楚な女忍者・篝火。 魔性の女・鬼火。 気品のあるお姫様・右京太夫の三役を演じなければならない。 デビュー作から1人3役を演じる女優がそれまで何人いたでしょう。 そんな17歳の少女に「色気が足りない」と無理とも思える要求をする斉藤光正監督。 その怒声を浴び、ゲンコツさえも飛んできたという撮影現場。 そんな厳しい環境が少女を変えていくのです。 続く第2作、映画「積木くずし」(1983年)では、母親に向かって金欲しさのあまり暴力を振るう娘、まるで悪魔が憑りついているかような不良少女を演じてみせました。 「糞ババアッ!銭出せよぉッ!」その狂気をまとった眼光と迫力ある演技に正直、恐怖さえ感じました。 テレビで同じ役を演じた高部知子の迫力を遥かに凌ぐ本物と見紛うヤンキーを見事に演じ切ったのです。 〜 好きな女優は夏目雅子さん。 「鬼龍院花子の生涯」を見てからファンになりました。 憧れは佐久間良子さん、なれたらいいなと思います 〜(「積木くずし」パンフレットより) 驚きました。 彼女はこの時、夏目雅子さんが「鬼龍院花子の生涯」(1982年)で啖呵を切るシーンなどを意識して演技プランを立てていたのかもしれません。 すごい。 デビューからたったの一年。 短い時間で人はこんなにも成長することが出来る。 薬師丸ひろこや原田知世のように天性の魅力を備えたアイドルではなく、角川春樹事務所の中にあって、常に「女優」というプロフェッショナルを意識して育てられた… それが三人娘の次女・渡辺典子だったのです。 そしてついに彼女は「晴れときどき殺人」(1984年)で単独主演を勝ち取ります。 本人にとって、主演映画の主題歌をヒットさせることが出来たときの喜びはどれだけ大きかったことでしょう。 ようやく三人が同じ土俵に立てたという感慨のせいか、ベストテン番組に出演した時の彼女は晴れやかな表情を見せ、高揚する歌声に喜びを滲ませていました。 三人娘の中で最も努力する姿を見せてくれた典子ちゃん。 多くの経験を重ねて成長していく姿を現在進行形で見ていて、何だかとても共感することが多かったように思います。 来年は角川3人娘映画祭を是非!!! 2016.

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