ニュー イヤー コンサート 2020。 2020ニューイヤーコンサート

ニューイヤー・コンサート2020 アンドリス・ネルソンス&ウィーン・フィル(2CD) : New Year's Concert

ニュー イヤー コンサート 2020

クラシック音楽の中でも最も有名で、ウィーンの誇る黄金のムジークフェラインザールからTVとラジオを通じて世界90カ国以上に放送され、5億人が視聴するというビッグ・イベント。 1939年に始まる75年以上の歴史を誇るこのコンサートでは、音楽の都ウィーンを象徴するシュトラウス一家のワルツやポルカが演奏され、その高額のチケットは世界一入手困難と言われています。 ウィーン・フィルとも記念イヤーのベートーヴェン・チクルスや録音を任されるなど、厚い信頼を寄せられているネルソンスが、新たな時代のウィンナ・ワルツとポルカを華麗に、かつ鮮烈に紡ぎ出します。 ポルカ「花祭り」 作品111 (ヨハン・シュトラウス2世) 5. ワルツ「シトロンの花咲く国」 作品364 (ヨハン・シュトラウス2世) 6. オペレッタ「軽騎兵」 序曲 (フランツ・フォン・スッペ) 8. ワルツ「もろびと手をとり」 作品443 (ヨハン・シュトラウス2世) 10. ワルツ「楽しめ人生を」 作品340 (ヨハン・シュトトラウス2世) 4. トリッチ・トラッチ・ポルカ 作品214(ヨハン・シュトトラウス2世) 5. ワルツ「ディナミーデン」 作品173 (ヨーゼフ・シュトラウス) [アンコール] 6. 「大空に羽ばたいて」 作品230(ポルカ・シュネル) 7. 新年の挨拶 (ポルカ・シュネル) 8. ワルツ「美しく青きドナウ」 作品314(ヨハン・シュトラウス2世) 9. ラデツキー行進曲 作品228(ヨハン・シュトラウス1世) *シュトラウスの作品名は日本ヨハン・シュトラウス協会刊の『ヨハン・シュトラウス2世作品目録』(2006)、「ヨーゼフ・シュトラウス作品目録」(2019)に従っています。 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:アンドリス・ネルソンス [録音] 2020年1月1日、ウィーン、ムジークフェラインザールでのライヴ・レコーディング メディア掲載レビューほか 毎年1月1日に行なわれるウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート。 クラシック音楽の中でも最も有名で、ウィーンの誇る黄金のムジークフェラインザールからTVとラジオを通じて世界90カ国以上に放送され、5億人が視聴するというビッグ・イベント。 1939年に始まる75年以上の歴史を誇るこのコンサートでは、音楽の都ウィーンを象徴するシュトラウス一家のワルツやポルカが演奏され、その高額のチケットは世界一入手困難と言われています。 2020年は、ボストン響音楽監督、ゲヴァントハウス管楽長を兼任するアンドリス・ネルソンスが初登場。 ウィーン・フィルとも記念イヤーのベートーヴェン・チクルスや録音を任されるなど、厚い信頼を寄せられているネルソンスが、新たな時代のウィンナ・ワルツとポルカを華麗に、かつ鮮烈に紡ぎ出します。 演奏曲目は、定番の「美しく青きドナウ」「ラデツキー行進曲」などに加えて、生誕250年のベートーヴェン、没後150年のヨーゼフ・シュトラウスなど、2019年のさまざまなアニヴァーサリーなどテーマ性を織り込んだ多彩な作品で構成され、新鮮味十分です。 その意味においても、我々音楽好きにはたまらぬ刺激とセンセーションを掻き立てたに違いない。 ウイーンフィルが全世界のシュトラウス愛好家や関係者らに贈った最上の黄金の目玉演奏であった点は、本年2020年を象徴する最大・最高のサプライズ及びハイライトではなかったか。 こうした長い経緯を経て、我々はようやく、ウイーンフィルという世界最高峰の実力惚れ高き、お墨付きのオケ演奏を通じて、作品初演の地である楽友協会黄金の大ホールで聴く瞬間に立ち会い、その喜びを互いにシェアし、共有したのであった。 さながらショパン風のこのマズルカ1曲が発掘演奏されただけでも、当年のニューイヤーは特別な意義を持つ待望の歴史的コンサートとなったではずであろう。 実はこのマズルカ<氷の花>は、アメリカはカリフォルニア在住の「幻のピアニスト」と称えられる小田川隆明氏の珍しいこれまで従来になかった希少音源を多数含むオーケストラを聴く様な錯覚と響きで演奏されたシュトラウス・ピアノ・エディション・シリーズでも、ピアノ2手独奏によった演奏録音がつい近年になってCD音源に記録され発売されてきた呼び物も蛇足ながら忘れてはならぬ価値あるアトラクションと言えよう。 ウイーンフィルも演ったことのないワルツ王やヨーゼフ・シュトラウスのワルツ原典版などを含む従来には決して無かった新鮮な演奏が聴けるのもこのシリーズ最大の見せ場・特典であり魅力の源泉であり続けているハズだ。 こうして現在の市場には、本年のウイーンフィルのニューイヤーでのオケ版と小田川氏のピアノ版の2種の<氷の花>演奏が出回ることになった点はファンやマニアにとってはこれ以上にない稀有にして貴重な望外の愉悦となったはずだ。 2016年に没後100年を迎えたエドゥアルト1世は、最近、その生前以上に作曲家としての実力と才能がウイーンフィルのニューイヤーを筆頭格に正当的に見直され、つい昨年2019年のティーレマン指揮のニューイヤーの折にも、珍しいポルカ・フランセーズ<オペラ座の夕べ>が発掘演奏されるなど、作品演奏の機会と需要が徐々に増大してきている気配が感じられ、今後も作曲家としての再評価が次兄ヨーゼフに続いて進展・開拓され、いつの日かは、その知られざる作品業績内容の全貌・全容が解明され、演奏の定番に結びついてゆくことをファンの一人として祈願しているまでだ。 2020年は楽聖ベートーヴェン・イヤーでもあり、彼の作品からはオケの為に書かれ、幾つかの他作品にも意図的に転用された有名主題である<エロイカ・モチーフ>も出現する<コントルダンス>WoO・14からの一部抜粋の演奏も加わり、充実の演目が揃った黄金の調べを世界中のファンの耳元に確実に届けられたのである。 しかし、今年に入るや、新型肺炎コロナウイルスの感染流行危機が全世界に及び、ベートーヴェン・イヤーは台無しの名目だけの年に陥ってしまった。 ウイーンをはじめ全世界無数にあるおびただしいコンサートホールでの数えきれぬほどのベートーヴェン作品公演が耳にできないという、なんとも言えぬ惜しい厄矛盾に転じたのである。 不滅の楽聖にとって本2020年は想定外の不名誉の年に終わるのが心残りの国際的な本厄年か。 さぞかし今頃、天国にあるベートーヴェンは、その生前の性格から判断するに「せっかくの私の記念イヤーに泥をぬるとは何たる無礼な皮肉か!! けしからん!! 」とでも憤慨・激怒して嘆いているに違いない。 と同時に、2020年はワルツ王ファミリーの中でも特別な才能に恵まれていたと近年再評価の声が高く進むヨーゼフ・シュトラウス没後150年と期を同じくして迎えたのも単なる偶然が生んだ現象ではなかったはずだ。 作曲家のメモリアル・イヤーとは、世をあげて、10年、50年、100年、150年・・・・などのサイクル周期単位で巡って来るのがこれまでの趨勢・傾向にあるが故、ベートーヴェンにしろ、ヨーゼフ・シュトラウスにしろ、本年2020年が、彼らの節目の年に当たったことは、最初から本年が歯車のかみ合わないコロナ・ショックという世界流行にさえ直面しなければ、全世界中のクラシック業界は大いに炎の様な盛り上がりと弾む様な目白押し良好な演奏需要消費好景気を見せたハズに違いないが.... 残念ながら現在でも全世界でコンサートの公演自粛・催行中止が相次いでいる模様だ。 クラシック業界は前例の無い異例の大打撃と損失赤字を被る日々が続いている。 日本も含め、世界中で活躍するプロ・アマ演奏家や指揮者などのアーティストたち、コンサート業に携わる関係者らのギャランティ収入が保証されず、生計が成り立たないという危機的状況はまだまだ回避・改善できていない。 今後この膠着状態がいつまで続くか限界が待っている。 場合によっては音楽業界の経営破綻・失職という不測の事態も考慮しなくてはならぬ時が襲来する可能性も無きにしも非ず旨を事前に覚悟しておく必要性に迫られよう。 話をニューイヤーに戻すと、北欧出の気鋭指揮者ネルソンスは、つい一昨年2019年の11月末に急逝された巨匠マリス・ヤンソンスの弟子・門下生でもあり、音楽院ではトランペットを専攻していたらしく、本年のコンサートでも、「スカンジナビアのシュトラウス」の形容・呼び名が今日定着化されつつあるハンス・クリスチャン・ロンビーの賑やかな<郵便馬車の御者のギャロップ>演奏では、会場の楽屋に繋がる通路ドア入り口付近から、突然トランペットのファンファーレ風な音型を吹き鳴らし、快活な演奏を展開し、会場の公衆たちを熱狂させるという一幕もあったのが記憶に楽しい印象を残している。 これが本年のニューイヤー独自の効果的な演出だったと捉えられるのではないか。 指揮者が団員と共に演奏に直接参加するという形・流儀の演出例も過去のニューイヤーには幾度となく前例があったことは確かだが、今年のそれはトランペット演奏にあったが、そこに余り深いニュアンスは無い様に感じる。 これは、何の変哲もない荒唐無稽で軽妙な冗談演出を強調したいだけ、或いはコンサート会場の場を熱気で騒然と盛り上げんとするがための気配り旺盛なファン・サービスにすぎないといった程度の意味合いにしか映らない。 だが、そこには愉快な遊び心と会場の聴衆との親密な距離感あっていつになく心が穏やかにほぐれるが、それを毎年、目当てに会場に足を運ぶ人も少なからずいるものと察せられる。 笑いも有りのアットホームなコンサートである。 その他、ヨーゼフの愛らしいポルカ・フランセーズ<キューピット>や、比較的初期の目立たない風化されたワルツ<愛の挨拶>、躍動調な<リヒテンシュタイン行進曲>などの珍しいナンバー選曲も注目に値する目玉演目となった点申すまでもない。 その他、近年のウイーンフィル演奏傾向としての一作曲家をレパートリー占めし定着している感のあるウイーン・ローカルが誇る名門音楽王朝出のヘルメスベルガー・ジュニアの品のある<ガヴォット>演奏もそれなりに興味深い色鮮やかな性格的小品としての響きに魅せられた様に思う。 これも新春を祝う音色に相応しい凝った特異な選曲構成の一部分を形成しているだろう。 これで初回登板を無事に難なく飾ったネルソンスは、今後も再び、親密な良好関係を互いに何度も築いているウイーンフィルと相性と息の合った演奏で、新年のニューイヤーの舞台に登場する日もそう遠くはないハズだ、という期待と予感を持った。 また次回に再登板した折には、どんなサプライズを用意し会場を沸かせる派手な演出を企て、我々音楽ファンの関心をどこまで高めることに寄与・貢献するのか、今から血気旺盛なこの現代のマエストロに期待を寄せたいと思う今日この頃にある。 当盤の演奏も、これといった欠点や不足に欠けるものは何もなく、よって星評価も、エドゥアルトのマズルカ<氷の花>がフル・オーケストラ演奏版で聴けた記念の想ひ出を込めて、非の打ちどころ無き星5つと申し分・遠慮なく付けさせていただいた点も故意にと言うよりかは、ごく自然な成り行き任せだったという思い入れと確たる根拠が残るからだ。 疫病蔓延の年となった2020年にエドゥアルト1世の秘曲が新年早々ウイーンフィルの黄金の演奏で聴けたのは音楽ファンにとっての大きな御利益であったろうが、肝心な楽聖ベートーヴェンの記念イヤーに彼の交響曲や協奏曲など周知の大作・傑作の数々が我々の住む街の身近な場所・コンサートホールで何も堪能できないというのはどう捉えたらよいものか、判断に苦しむし、複雑な心理状態である。 現実には、御利益の後は不幸な災厄が用意され待っていたのだった。 恐るべし厄介微生菌コロナ・ウイルス!!! とまれ2020年のニューイヤーは、小生の思いつく限り上記の様なコンテンツ満載のコンサートに終幕したという点をざっと概観してみたが、どれもこれもこれまでにない絶妙な新感覚を抱かされた曲象にあった。 次はどんなサプライズ特典演奏を用意し奮ってくれるか、まだ時期尚早だが早くも何年か先を見据えた、ポピュラー音楽世界の解釈でも確かな見識力と手腕を示したカリスマ指揮者ネルソンス通算2度目のニューイヤー再登板実現に向けた動きに今から目が離せず待ち遠しい今日の実情にある。

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2020年のウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート、収録後わずか10日にして、本日全曲配信スタート

ニュー イヤー コンサート 2020

2020年は、ボストン交響楽団音楽監督、ゲヴァントハウス管弦楽団楽長を兼任する、ラトヴィア出身のアンドリス・ネルソンスが初登場。 ウィーン・フィルとは2010年以来、すでに80回近く共演を重ねており、数少ないウィーン・フィルの定期公演の常連指揮者の一人。 日本公演も含む海外ツアーやザルツブルク音楽祭にも出演し、2017~19年にはベートーヴェンの交響曲全曲を演奏・録音、さらに記念イヤーのベートーヴェン・チクルスを任されるなど、厚い信頼を寄せられているネルソンスが、新たな時代のウィンナ・ワルツとポルカを華麗に、かつ鮮烈に紡ぎ出した。 現地メディアも、「祝祭的気分に溢れ、音楽的に優れたネルソンスのデビュー」(『クーリエ』紙)、「ネルソンスのニューイヤー・コンサートは、ピチピチ感満点。 聴衆も熱狂し、スタンディング・オヴェーションで応えた」(『クローネ』紙)、「ドライヴ感がすごく、細かいところまで配慮され、爆発的な迫力にビックリ」(『スタンダード』紙)など、絶賛の嵐。 演奏曲目は、定番の「美しく青きドナウ」「ラデツキー行進曲」などに加えて、今年生誕250年のベートーヴェン、没後150年のヨーゼフ・シュトラウス、ザルツブルク音楽祭創設100年、ウィーン楽友協会竣工150年と、2020年のさまざまなアニヴァーサリーを織り込んだ多彩な作品で構成され、しかも同コンサート初登場となる作品が9曲と新鮮味も十分。 音楽プロデューサーの渋谷ゆう子さんの現地コンサート・レポートをお届けする。 ********* 2020年1月1日、午前 11時15分。 この時期のウィーンにしては高めの気温と暖かな陽射しに包まれ、楽友協会黄金のホールにはドレスアップした人々の新年の高揚感が満ちていた。 濃いピンクと黄色を基調とした無数のバラに埋め尽くされたステージでは、ウィーン・フィルのメンバーが和やかに指揮者の登場を待つ。 オープニングに持ってきたのは、ニューイヤー・コンサート初登場であるツィーラーのオペレッタ「放浪者」序曲である。 ウィーンで生まれウィーンで亡くなった作曲家ツィーラーのオペレッタの中で、唯一これまで同コンサートで演奏されなかった曲だ。 続いてヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「愛の挨拶」、「リヒテンシュタイン行進曲」と冒頭から3曲目まで初登場の楽曲が演奏された。 1870年に亡くなったヨハン2世の弟ヨーゼフ・シュトラウスは今年が没後150年にあたることもあり、アンコールまで含めると5曲が演奏された。 さらに、ニューイヤー・コンサート恒例のサプライズとして、今回はトランペット奏者ネルソンスが登場。 ラトヴィア国立歌劇場の首席トランペット奏者という経歴を持つネルソンが見事なソロを演奏した「郵便馬車の御者のギャロップ」も観客を大いに楽しませた。 また2020年のクラシック音楽界の世界的なトピックでもあるベートーヴェンの生誕250年を記念して「コントルダンス」が取り上げられた。 舞曲としての華やかさの中に時おり目立つベートーヴェンらしい力強さをネスソンスがすくい上げ、聞き応えのある演奏となった。 初登場の楽曲が9曲という目新しさを抑えるかのように、全体の構成はワルツ、ポルカ、ギャロップなどの組み合わせをオーソドックスな並びにし、奇を衒う方法は採用していない。 曲そのものが持つ力と伝統的な自然な流れで配置している。 ニューイヤー・コンサートといえば、ワルツやポルカで新年の喜びを表す陽気さがイメージされるが、ネルソンスとウィーン・フィルがこの日表現したのは、人間の多様な感情とその変化であり、音楽の中に人々の思いを丁寧に音でなぞるような豊かな表現力であった。 隅々まで美しく彫琢された「美しく青きドナウ」に続いて最後に演奏された「ラデツキー行進曲」は、今回新しく編曲された楽譜が使われた。 これまで使われていた楽譜の編曲者レオポルト・ヴェニンガーがナチス党員であった経緯を指摘されたからだ。 ウィーン・フィルによる今回の編曲は全体的にシンプルな形に変化しているが、これは観客の手拍子が入ることを念頭にされたものだという。 この響きが一新されたこの定番行進曲の演奏をウィーン・フィルに任せながら、観客をコミカルな動きで巻き込んでいくネルソンスの人間味が、さらに黄金の間を至福の場に導いた。 コンサートは大きな熱狂とともに終了したが、それは同時にウィーン市民がネルソンスを大いなる文化の継承者として認めた瞬間でもあった。 ネルソンスは人が好きなのだろう。 音楽を生み出した作曲家だけでなく、それらを受け止め音楽文化を育んできた当時の人々へも、そしてそれをつなぐ現代の人々に対しても、彼は穏やかに温かく愛で包む術を持っている。 リハーサルで楽団員に指示を出す際にも、決して雰囲気を悪くするような言い方や態度をとらず、敬意を持って音楽表現をお願いしていた。 そんな彼の姿勢が、本番では聴衆に伝わり、ホール全体が温かな音楽愛に包まれた。 音楽はその場の空気を振動させて成立する芸術である。 会場の空気はそこにいる観客全員の温かな吐息で構成されている。 ウィーンの伝統を継承し確かな技術と表現力のある楽団員と、その伝統に愛を持って臨む指揮者。 そしてそれを新年の喜びと共に享受する2000人の聴衆。 これらすべての要素が合わさることで、黄金の間には肯定的な音楽愛が満ち溢れた。 曲が進むにつれ、ネルソンスの世界感が受け入れられ、聴衆はその音楽を全身で受け止め、それが喜びの吐息となり会場を埋めていく。 だからこそ、ニューイヤー・コンサートが成功したのだ。 若き指揮者ネルソンスは新しいニューイヤー・コンサートを創ったのか。 楽友協会にこの日集ったウィーン、そして世界各国より集った聴衆はその問いに「ノー」を示した。 「いや、これは正にウィーンのそのものだ」と。 新たな時代を予感させるその演奏は、この音楽都市のコンサート聴衆が求める厳しい音楽基準に確実に受け入れられ、温かい称賛を得たのである。 新しい試みと定番の中に文化と歴史の重みを実直に提示したネルソンスについて、コンサート後には、「彼はウィーン人だったのか?」と冗談が聞こえるほどだ。 この日、若きマエストロがウィーン・フィルとともに生み出した世界観は、ウィーンの都と人々の文化に息づく大切なものが確実に内包されていた。 正にウィーンが歴史と文化の中で求める本来の意味での「ニューイヤー・コンサート」がネルソンスによって示されたのである。 (渋谷ゆう子、音楽プロデューサー) ********* 「ニューイヤー・コンサート2020」のアルバム全曲配信は本日スタート。 CDは1月29日、ブルーレイディスクは2月19日に発売される予定である。 ポルカ「花祭り」 作品111(ヨハン・シュトラウス2世) 5. ワルツ「シトロンの花咲く国」 作品364(ヨハン・シュトラウス2世) 6. オペレッタ「軽騎兵」 序曲(スッペ) 8. ワルツ「もろびと手をとり」 作品443(ヨハン・シュトラウス2世) 10. ワルツ「楽しめ人生を」 作品340(ヨハン・シュトラウス2世) 15. トリッチ・トラッチ・ポルカ 作品214(ヨハン・シュトラウス2世) 16. ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:アンドリス・ネルソンス [録音]2020年1月1日、ウィーン、ムジークフェラインザールでのライヴ・レコーディング.

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ニューイヤー・コンサート2020 アンドリス・ネルソンス&ウィーン・フィル(2CD) : New Year's Concert

ニュー イヤー コンサート 2020

クラシック音楽の中でも最も有名で、ウィーンの誇る黄金のムジークフェラインザールからTVとラジオを通じて世界90カ国以上に放送され、5億人が視聴するというビッグ・イベント。 1939年に始まる75年以上の歴史を誇るこのコンサートでは、音楽の都ウィーンを象徴するシュトラウス一家のワルツやポルカが演奏され、その高額のチケットは世界一入手困難と言われています。 ウィーン・フィルとも記念イヤーのベートーヴェン・チクルスや録音を任されるなど、厚い信頼を寄せられているネルソンスが、新たな時代のウィンナ・ワルツとポルカを華麗に、かつ鮮烈に紡ぎ出します。 ポルカ「花祭り」 作品111 (ヨハン・シュトラウス2世) 5. ワルツ「シトロンの花咲く国」 作品364 (ヨハン・シュトラウス2世) 6. オペレッタ「軽騎兵」 序曲 (フランツ・フォン・スッペ) 8. ワルツ「もろびと手をとり」 作品443 (ヨハン・シュトラウス2世) 10. ワルツ「楽しめ人生を」 作品340 (ヨハン・シュトトラウス2世) 4. トリッチ・トラッチ・ポルカ 作品214(ヨハン・シュトトラウス2世) 5. ワルツ「ディナミーデン」 作品173 (ヨーゼフ・シュトラウス) [アンコール] 6. 「大空に羽ばたいて」 作品230(ポルカ・シュネル) 7. 新年の挨拶 (ポルカ・シュネル) 8. ワルツ「美しく青きドナウ」 作品314(ヨハン・シュトラウス2世) 9. ラデツキー行進曲 作品228(ヨハン・シュトラウス1世) *シュトラウスの作品名は日本ヨハン・シュトラウス協会刊の『ヨハン・シュトラウス2世作品目録』(2006)、「ヨーゼフ・シュトラウス作品目録」(2019)に従っています。 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:アンドリス・ネルソンス [録音] 2020年1月1日、ウィーン、ムジークフェラインザールでのライヴ・レコーディング メディア掲載レビューほか 毎年1月1日に行なわれるウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート。 クラシック音楽の中でも最も有名で、ウィーンの誇る黄金のムジークフェラインザールからTVとラジオを通じて世界90カ国以上に放送され、5億人が視聴するというビッグ・イベント。 1939年に始まる75年以上の歴史を誇るこのコンサートでは、音楽の都ウィーンを象徴するシュトラウス一家のワルツやポルカが演奏され、その高額のチケットは世界一入手困難と言われています。 2020年は、ボストン響音楽監督、ゲヴァントハウス管楽長を兼任するアンドリス・ネルソンスが初登場。 ウィーン・フィルとも記念イヤーのベートーヴェン・チクルスや録音を任されるなど、厚い信頼を寄せられているネルソンスが、新たな時代のウィンナ・ワルツとポルカを華麗に、かつ鮮烈に紡ぎ出します。 演奏曲目は、定番の「美しく青きドナウ」「ラデツキー行進曲」などに加えて、生誕250年のベートーヴェン、没後150年のヨーゼフ・シュトラウスなど、2019年のさまざまなアニヴァーサリーなどテーマ性を織り込んだ多彩な作品で構成され、新鮮味十分です。 その意味においても、我々音楽好きにはたまらぬ刺激とセンセーションを掻き立てたに違いない。 ウイーンフィルが全世界のシュトラウス愛好家や関係者らに贈った最上の黄金の目玉演奏であった点は、本年2020年を象徴する最大・最高のサプライズ及びハイライトではなかったか。 こうした長い経緯を経て、我々はようやく、ウイーンフィルという世界最高峰の実力惚れ高き、お墨付きのオケ演奏を通じて、作品初演の地である楽友協会黄金の大ホールで聴く瞬間に立ち会い、その喜びを互いにシェアし、共有したのであった。 さながらショパン風のこのマズルカ1曲が発掘演奏されただけでも、当年のニューイヤーは特別な意義を持つ待望の歴史的コンサートとなったではずであろう。 実はこのマズルカ<氷の花>は、アメリカはカリフォルニア在住の「幻のピアニスト」と称えられる小田川隆明氏の珍しいこれまで従来になかった希少音源を多数含むオーケストラを聴く様な錯覚と響きで演奏されたシュトラウス・ピアノ・エディション・シリーズでも、ピアノ2手独奏によった演奏録音がつい近年になってCD音源に記録され発売されてきた呼び物も蛇足ながら忘れてはならぬ価値あるアトラクションと言えよう。 ウイーンフィルも演ったことのないワルツ王やヨーゼフ・シュトラウスのワルツ原典版などを含む従来には決して無かった新鮮な演奏が聴けるのもこのシリーズ最大の見せ場・特典であり魅力の源泉であり続けているハズだ。 こうして現在の市場には、本年のウイーンフィルのニューイヤーでのオケ版と小田川氏のピアノ版の2種の<氷の花>演奏が出回ることになった点はファンやマニアにとってはこれ以上にない稀有にして貴重な望外の愉悦となったはずだ。 2016年に没後100年を迎えたエドゥアルト1世は、最近、その生前以上に作曲家としての実力と才能がウイーンフィルのニューイヤーを筆頭格に正当的に見直され、つい昨年2019年のティーレマン指揮のニューイヤーの折にも、珍しいポルカ・フランセーズ<オペラ座の夕べ>が発掘演奏されるなど、作品演奏の機会と需要が徐々に増大してきている気配が感じられ、今後も作曲家としての再評価が次兄ヨーゼフに続いて進展・開拓され、いつの日かは、その知られざる作品業績内容の全貌・全容が解明され、演奏の定番に結びついてゆくことをファンの一人として祈願しているまでだ。 2020年は楽聖ベートーヴェン・イヤーでもあり、彼の作品からはオケの為に書かれ、幾つかの他作品にも意図的に転用された有名主題である<エロイカ・モチーフ>も出現する<コントルダンス>WoO・14からの一部抜粋の演奏も加わり、充実の演目が揃った黄金の調べを世界中のファンの耳元に確実に届けられたのである。 しかし、今年に入るや、新型肺炎コロナウイルスの感染流行危機が全世界に及び、ベートーヴェン・イヤーは台無しの名目だけの年に陥ってしまった。 ウイーンをはじめ全世界無数にあるおびただしいコンサートホールでの数えきれぬほどのベートーヴェン作品公演が耳にできないという、なんとも言えぬ惜しい厄矛盾に転じたのである。 不滅の楽聖にとって本2020年は想定外の不名誉の年に終わるのが心残りの国際的な本厄年か。 さぞかし今頃、天国にあるベートーヴェンは、その生前の性格から判断するに「せっかくの私の記念イヤーに泥をぬるとは何たる無礼な皮肉か!! けしからん!! 」とでも憤慨・激怒して嘆いているに違いない。 と同時に、2020年はワルツ王ファミリーの中でも特別な才能に恵まれていたと近年再評価の声が高く進むヨーゼフ・シュトラウス没後150年と期を同じくして迎えたのも単なる偶然が生んだ現象ではなかったはずだ。 作曲家のメモリアル・イヤーとは、世をあげて、10年、50年、100年、150年・・・・などのサイクル周期単位で巡って来るのがこれまでの趨勢・傾向にあるが故、ベートーヴェンにしろ、ヨーゼフ・シュトラウスにしろ、本年2020年が、彼らの節目の年に当たったことは、最初から本年が歯車のかみ合わないコロナ・ショックという世界流行にさえ直面しなければ、全世界中のクラシック業界は大いに炎の様な盛り上がりと弾む様な目白押し良好な演奏需要消費好景気を見せたハズに違いないが.... 残念ながら現在でも全世界でコンサートの公演自粛・催行中止が相次いでいる模様だ。 クラシック業界は前例の無い異例の大打撃と損失赤字を被る日々が続いている。 日本も含め、世界中で活躍するプロ・アマ演奏家や指揮者などのアーティストたち、コンサート業に携わる関係者らのギャランティ収入が保証されず、生計が成り立たないという危機的状況はまだまだ回避・改善できていない。 今後この膠着状態がいつまで続くか限界が待っている。 場合によっては音楽業界の経営破綻・失職という不測の事態も考慮しなくてはならぬ時が襲来する可能性も無きにしも非ず旨を事前に覚悟しておく必要性に迫られよう。 話をニューイヤーに戻すと、北欧出の気鋭指揮者ネルソンスは、つい一昨年2019年の11月末に急逝された巨匠マリス・ヤンソンスの弟子・門下生でもあり、音楽院ではトランペットを専攻していたらしく、本年のコンサートでも、「スカンジナビアのシュトラウス」の形容・呼び名が今日定着化されつつあるハンス・クリスチャン・ロンビーの賑やかな<郵便馬車の御者のギャロップ>演奏では、会場の楽屋に繋がる通路ドア入り口付近から、突然トランペットのファンファーレ風な音型を吹き鳴らし、快活な演奏を展開し、会場の公衆たちを熱狂させるという一幕もあったのが記憶に楽しい印象を残している。 これが本年のニューイヤー独自の効果的な演出だったと捉えられるのではないか。 指揮者が団員と共に演奏に直接参加するという形・流儀の演出例も過去のニューイヤーには幾度となく前例があったことは確かだが、今年のそれはトランペット演奏にあったが、そこに余り深いニュアンスは無い様に感じる。 これは、何の変哲もない荒唐無稽で軽妙な冗談演出を強調したいだけ、或いはコンサート会場の場を熱気で騒然と盛り上げんとするがための気配り旺盛なファン・サービスにすぎないといった程度の意味合いにしか映らない。 だが、そこには愉快な遊び心と会場の聴衆との親密な距離感あっていつになく心が穏やかにほぐれるが、それを毎年、目当てに会場に足を運ぶ人も少なからずいるものと察せられる。 笑いも有りのアットホームなコンサートである。 その他、ヨーゼフの愛らしいポルカ・フランセーズ<キューピット>や、比較的初期の目立たない風化されたワルツ<愛の挨拶>、躍動調な<リヒテンシュタイン行進曲>などの珍しいナンバー選曲も注目に値する目玉演目となった点申すまでもない。 その他、近年のウイーンフィル演奏傾向としての一作曲家をレパートリー占めし定着している感のあるウイーン・ローカルが誇る名門音楽王朝出のヘルメスベルガー・ジュニアの品のある<ガヴォット>演奏もそれなりに興味深い色鮮やかな性格的小品としての響きに魅せられた様に思う。 これも新春を祝う音色に相応しい凝った特異な選曲構成の一部分を形成しているだろう。 これで初回登板を無事に難なく飾ったネルソンスは、今後も再び、親密な良好関係を互いに何度も築いているウイーンフィルと相性と息の合った演奏で、新年のニューイヤーの舞台に登場する日もそう遠くはないハズだ、という期待と予感を持った。 また次回に再登板した折には、どんなサプライズを用意し会場を沸かせる派手な演出を企て、我々音楽ファンの関心をどこまで高めることに寄与・貢献するのか、今から血気旺盛なこの現代のマエストロに期待を寄せたいと思う今日この頃にある。 当盤の演奏も、これといった欠点や不足に欠けるものは何もなく、よって星評価も、エドゥアルトのマズルカ<氷の花>がフル・オーケストラ演奏版で聴けた記念の想ひ出を込めて、非の打ちどころ無き星5つと申し分・遠慮なく付けさせていただいた点も故意にと言うよりかは、ごく自然な成り行き任せだったという思い入れと確たる根拠が残るからだ。 疫病蔓延の年となった2020年にエドゥアルト1世の秘曲が新年早々ウイーンフィルの黄金の演奏で聴けたのは音楽ファンにとっての大きな御利益であったろうが、肝心な楽聖ベートーヴェンの記念イヤーに彼の交響曲や協奏曲など周知の大作・傑作の数々が我々の住む街の身近な場所・コンサートホールで何も堪能できないというのはどう捉えたらよいものか、判断に苦しむし、複雑な心理状態である。 現実には、御利益の後は不幸な災厄が用意され待っていたのだった。 恐るべし厄介微生菌コロナ・ウイルス!!! とまれ2020年のニューイヤーは、小生の思いつく限り上記の様なコンテンツ満載のコンサートに終幕したという点をざっと概観してみたが、どれもこれもこれまでにない絶妙な新感覚を抱かされた曲象にあった。 次はどんなサプライズ特典演奏を用意し奮ってくれるか、まだ時期尚早だが早くも何年か先を見据えた、ポピュラー音楽世界の解釈でも確かな見識力と手腕を示したカリスマ指揮者ネルソンス通算2度目のニューイヤー再登板実現に向けた動きに今から目が離せず待ち遠しい今日の実情にある。

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